支払督促とは?個人事業主の売掛金・報酬未払いを回収する手続と費用を弁護士が解説

LEGAL GUIDE 04 / 個人事業主の債権回収

働いた分の報酬が、支払われない。
「支払督促」という回収方法。

業務を完了したのに報酬が振り込まれない。売掛金の支払期限が過ぎても連絡がない。個人事業主・フリーランスにとって未払いは事業の資金繰りに直結する問題です。

この記事では、取引先からお金を回収する事業主の立場から、支払督促の利用方法、費用、異議申立てのリスクと実務上の選び方を解説します。

結論・最初に押さえるポイント

支払督促は裁判所を通じて金銭を請求する簡易な手続ですが、相手方が督促異議を申し立てれば通常訴訟へ移行します。申立てが回収の保証になるわけではなく、証拠と相手方の支払能力を踏まえて選ぶことが重要です。

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支払督促とは?売掛金や報酬を請求する制度

支払督促とは、債権者からの申立てに基づき、原則として債務者の住所地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官が金銭等の支払いを命じる手続です(民事訴訟法382条以下)。通常の訴訟とは異なり、最初は相手方の主張を聞かずに、申立て内容を中心として審査されます。

個人事業主の事業における業務委託報酬、制作費、商品の売掛金、工事代金などが典型的な対象です。請求金額について一律の上限はありません。ただし、建物の明渡しや役務の提供など、金銭等の給付以外を直接請求することはできません。

利用に適する例

取引内容と金額が明確で、相手方が債務を強く争っていない場合。

別の手段を検討したい例

成果物の瑕疵、追加作業、報酬の合意などが争点で、異議が予想される場合。

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支払督促の申立てから回収までの流れ

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未払いの事実と請求根拠を整理

契約書、発注メール、請求書、納品・検収記録、入金履歴、督促連絡などを確認します。

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管轄の簡易裁判所に申立て

原則として相手方住所地を管轄する簡易裁判所に申し立てます。送達できる住所等の確認が必要です。

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相手方への支払督促の送達

裁判所書記官が審査し、支払督促を発付します。相手方は送達後2週間以内に督促異議を申し立てることができます。

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異議がなければ仮執行宣言を申立て

2週間以内に異議がなければ、その期間経過後30日以内に仮執行宣言を申し立てる必要があります。申し立てなければ支払督促は効力を失います。

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必要に応じ強制執行へ

仮執行宣言付支払督促等に基づいて預金や売掛債権などを差し押さえることを検討します。執行費用は別途必要です。

相手方が督促異議を申し立てると、通常訴訟へ移行します。

最初の支払督促だけでなく、仮執行宣言付支払督促にも所定期間の異議制度があります。異議が見込まれる請求は、訴訟に備えた証拠の準備が必要です。

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事業主が知っておきたいメリットとデメリット

メリット:比較的簡易な手続

書類等による審査が中心で、通常は審理のために裁判所へ出頭する必要がありません。相手方が支払義務を認めながら支払いを遅らせている場合、支払いを促す効果が期待できます。

デメリット:異議で通常訴訟に移行する

相手方は詳細な反論理由を記載せずに督促異議を申し立てることができます。その後は通常訴訟で請求原因と証拠を示す必要があり、時間・費用が追加で必要になる可能性があります。

もう一つのリスク:回収できるとは限らない

仮執行宣言付支払督促を得ても、相手方に差押え可能な財産が見当たらなければ回収できない場合があります。事業の継続状況や相手方の信用状態を確認する必要があります。

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支払督促の費用と2026年の変更点

裁判所に納める申立手数料は請求金額に応じて定められています。2026年5月21日以降は郵便費用が申立手数料に一本化され、所定の郵便費用相当額を加えた額を納めます。正確な費用は裁判所が公表する最新の手数料早見表をご確認ください。

同日以降、mints等による電子申立てが可能になり、弁護士等の訴訟代理人には電子申立てが義務付けられています。申立手数料とは別に、弁護士費用、督促異議後の通常訴訟や強制執行の費用が生じることがあります。

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支払督促・交渉・訴訟をどう選ぶか

判断の出発点は、契約書・発注メール・納品物・請求書等の証拠がそろっているか、相手が何を争っているか、そして相手の支払能力があるかという3点です。

相手が支払義務を争っている場合には、最初から訴訟や交渉を選ぶ方が効率的なこともあります。

支払督促は裁判手続であるため、内容証明郵便を相手に送付するよりも一定の効果が見込まれますが、督促異議により通常訴訟に移行してしまうデメリットもあるため、事案により慎重な検討が必要となります。

なお、未払い債権の消滅時効が近い場合には、適切な法的措置を速やかに検討してください。

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法律顧問プランの支払督促特典

当職の個人事業主・フリーランス向け法律顧問プランには、支払督促を各12か月に2件まで、1暦月につき1件まで、着手金0円で依頼できる特典があります。事前確認・個別委任契約などの適用条件があります。

着手金0円でも、回収時の成功報酬は実回収額の10%(税別)、裁判所費用等の実費は別途必要です。督促異議後の訴訟や強制執行の費用も原則として別契約となります。請求額に上限はありませんが、回収を保証する特典ではありません。

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支払督促についてよくある質問

請求金額に上限はありますか?

一般的な請求金額の上限はありません。もっとも、請求内容が金銭等の給付であることや送達先があることなどの要件が必要です。

異議申立てをされると負けになりますか?

異議だけで負けになるわけではありません。通常訴訟へ移行し、契約や納品等の証拠に基づいて審理されます。

相手の住所が分からなくてもできますか?

送達が必要なため、相手方の住所等を把握できない場合は、調査や別手続の検討が必要になります。

弁護士の着手金0円なら全て無料ですか?

いいえ。顧問特典は所定の着手金についてのもので、実費や回収成功報酬、訴訟・執行移行時の費用は別途必要です。

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この記事を書いた人

弁護士 濵岡宏紀

弁護士 濵岡 宏紀

En法律事務所 代表弁護士。第一東京弁護士会所属。不動産・立退き問題、労働問題、インターネット問題、離婚・男女問題、企業法務などを取り扱っています。立退き分野では、入居者・テナント側だけでなく、貸主側・ディベロッパー側の交渉実務にも関与してきた経験を踏まえ、事案に応じた実務的な解決を目指しています。